札幌中心に道内の山をのんびり歩いているヤマプラです。今回は道央で大人気、羊蹄山の一番人気ルート「真狩コース」と二番人気の「比羅夫(倶知安)コース」のルート案内&山頂からの見どころ解説です。標高1898mを誇る道央圏の主峰であり標準登山時間は8時間を超える難峰でありながらも良く晴れた休日には早朝から広い駐車場が溢れています。まだ未踏の名山、名コースを探訪したい方の一助になれば幸いです。
目次
羊蹄山とは
羊蹄山は標高1898m、北海道後志地方に位置する道央圏最高峰の成層火山で有り、3つの火口から成るその山頂は真狩村、喜茂別町、京極町、倶知安町、ニセコ町、5つの町村の境となっています。日本100名山にも選定されているその美しく均整のとれた姿から「蝦夷富士」の名で親しまれています。アイヌ名は「マッカリヌプリ」、山名の由来は日本書紀にまで遡り西暦659年に阿部比羅夫が後方羊蹄(しりへし)に政庁を置いたと記され、江戸末期から明治にかけての探検家、松方武四郎がこれをもとに「後方羊蹄山(しりべしやま)」と名付けた。後方(シリヘ)羊蹄(シ)と文字からは現在では想像のつかない読みであることから文字通り読みで「ようていざん」と呼ばれるようになりました。
4本ある登山道はいずれも標高差が大きく急登が続くハードな登山となるが、豊富な高山植物が見られることや山頂からの大展望など、頑張って登るだけの価値は有ります。道央圏の登山愛好者にとっては必ず挑戦したい人気の名峰であり冬のバックカントリーも人気が高い。しかし登山中の持病悪化や冬山での雪崩による死者が出ていることからも十分な知識、体力、準備が必要な山であると言えます。独立峰だけに天候が崩れると想像を絶する悪条件となる故、気象条件をよく見極め撤収に切り替える余裕を持って登山に臨まれたし。筆者も山頂頂稜での爆風と急激な温度低下で避難小屋に逃げ込むも管理人曰く「本日のコンディションなら遭難してもヘリは飛べません」とのことで無理せずそこから撤収に切り替えたことも有る。
一番人気 羊蹄山真狩コース案内
羊蹄山真狩コース駐車場
羊蹄山真狩コースの駐車場は真狩村にある羊蹄山自然公園の奥に登山者用の駐車場が用意されています。とにかく人気の登山道ですのでコンディションの良い休日は満車になっています。第1駐車場が満車の場合は斜め向かいに第2駐車場も有るので覚えておくと便利です。初めての方は下のグーグルマップか「羊蹄山自然公園ルート検索」でご確認下さい。水洗トイレも有ります。多くの登山者の受け入れ可能な登山口の施設の充実がこの登山道を一番人気としています。公共交通手段はJR倶知安駅から道南バス倶知安留寿都線の便で羊蹄自然公園入口で下車。最新の時刻表は道南バスの公式サイトにてご確認下さい。
駐車場上の羊蹄山登山センターは水洗トイレの他、羊蹄山の動植物のパネル展示、自販機が有ります。下山後に速攻でつめたぁ~いコーラを買おうとしたら1000円札の釣銭切れで大ショク!公園内の他の自販機も釣銭切れ。念の為、小銭の用意も有るとアフター登山がもれなく楽しめるかも。
羊蹄山真狩コース所要時間・難易度
北海道夏山ガイドによる標準タイムは登り4時間40分、下り3時間30分となっていますが年齢、性別、体力、気候により個人差が激しいので目安とし、特に下山では疲労によりペースダウンすると誤差も大きいので余裕を持ってハイキングを楽しんで下さい。(登山日10月14日)↓
- 距離 : 18.7キロメートル
- 高低差 : 1520m
- 所要時間 : 9時01分
- 休憩 : 50分
- レベル : 中級
主なコースタイム↓
- 羊蹄山真狩コース駐車場(標高370m)07:23→
- →11:02真狩コース下山口(標高1802m)11:07→
- →11:38三角点ピーク(標高1892.7m)11:38→
- →11:46羊蹄山(標高1898m)11:53→
- →12:45真狩コース下山口(標高1802m)12:50→
- →16:24羊蹄山真狩コース駐車場
主要ポイントが多く要約しましたが、詳細チェックは羊蹄山真狩コース登山を参照下さい。
羊蹄山真狩コース山登山
札幌から1時間半、羊蹄山自然公園に到着。朝晩は肌寒い10月中旬ですがキャンプ場はまだまだ賑わっていて、下山時にはあちこちからいい匂いが漂って来るルートです。登山者も先客多数、後客続々。
園内のメイン道路をまっすぐ登ると5分程で登山ポストの有る登山口に到着。記帳して登山開始。登山口の標高は370m程、ここから1500m高度を上げるルートです。
今年は山頂で熊跡が見つかっている。熊スプレーは置いてきたが熊鈴は装備しよう。
序盤はトドマツの森の中に開削された階段ルートです。ここは5分程でクリアー、階段の上で標高430mでした。
スタートから20分、先ずは1合目に到着。ここまではノーストレスもまだ1300m以上登るのかぁ。目標が高すぎる時はあまり先のことは考えず1合、1合出来る事からコツコツ刻んで行こう。(いい言葉だなぁ~、ここカット)
更に15分程進むと羊蹄山の寄生火山で有る南コブへの分岐が有ります。ここは直進、標識明瞭にて初めてでも心配は無いでしょう。
綺麗なシラカバの森を通過します。↓
スタートから45分、標高を660mまで上げ2合目に到着、まだまだ先は長いが高度稼ぎのお得感は有るなぁ。↓
2合目を過ぎて5分程で2合目半の標識が有ります。若干広いスペースが有りますのでグループ登山の小休止に丁度良いところです。
2合目半を過ぎると羊蹄山の南斜面からの眺望が楽しめます。洞爺湖、胆振、道南方面の眺望を楽しみながら登るのがこのルートのポイントです。写真愛好者の方にビューポイントを聞かれたことが有りますが私がオススメしたのは7合目より上の洞爺湖です。励みになったようで「それは楽しみ」と笑顔で登られていました。
まだ頭だけだが恵庭岳、風不死岳、樽前山の支笏三座も見えている。本日は楽しめそうだ。↓
恵庭岳にズーム、ここから見るとネコ耳じゃなくえらく丹精な山容だ。
左ピークが初めての登山者を惑わせる風不死岳の3ポコ、右の台形ピークが樽前山の溶岩ドーム。↓
スタートから55分で3合目に到着。
3合目過ぎからダケカンバが増えて来た。登山道のハウチハカエデも紅葉している。
頂稜が見えて来た。
スタートから1時間、標高900mを超えて振り向くと昆布岳の雄姿が見えて来ました。
スタートから1時間20分で4合目へ。25分で標高190m稼いだか。
4合目でしばし眺望を楽しむ。昆布岳、右奥に狩場山までくっきりと見えている。↓
いい秋晴れだなぁ。↓
4号目を過ぎると細かくジグを切った急登が始まる。
4合目から山頂にかけてヤマハハコが散見されました。
10月にタチツボスミレ!たまに勘違いしたスミレが10月に咲くこともあるそうです。これがいわゆる返り咲き、先週登った西富良野岳にも居たなぁ。↓
スタートから1時間50分で5合目に到着。急登続きでペースダウンか、4合目から30分程かかったが標高は200m稼いでいる。
5合目を過ぎると眺望の良さも本格化してくる。洞爺湖の全景を見下ろして登るのがこのコースならでは。右手に道南のランドマーク狩場山。↓
中央に狩場山、手前にザ・ウィンザーホテル洞爺。↓
左手前に尻別岳、ホロホロ山と徳峻別山の双耳峰、オロフレ山。↓
左手前に昆布岳、右奥のビークが狩場山。本日は遠望が利いて足が止まりがち。↓
5合目から30分で6合目、標高は1300mを超えた。ダケカンバのトンネルをくぐって進みます。↓
6合目から20分で7合目、高度が上がり見晴らし良好だが先客が休憩中、先に進もう。↓
15分程て8合目に到着。まさに胸突き八丁、7合目から8合目の間は急登が多いがその分早く高度を稼げる。
ここで小休止、ウロウロしてエサをほうばるエゾシマリスに癒される。↓
8合目から20分で9合目に到着。避難小屋との分岐になっている。
さらに20分で真狩コース下山口、羊蹄山のお鉢に取り付きました。
真狩コース下山口から右回りは岩場ルート、山頂標識まで距離は短いが難所が多く必ずしも時短にはならない。今回は下山で利用したが40分かかった。
今回登りで利用した左回り、母釜、小釜の分岐ルート、こちらも山頂標識まで40分でした。↓
この後はお鉢回り、羊蹄山山頂お鉢回りと絶景解説を参照下さい。
羊蹄山山頂お鉢回りと絶景解説
羊蹄山の御鉢は外周約4.5キロ、父釜、母釜、小釜と三つの火口を持っています。最も大きな父釜は外周約2.5キロです。この広大な御鉢そのものが他の山で言ういわゆる山頂広場に当たりその場その場で景色が変わっていきます。ではビュースポットを探りながら歩いて行こう。
羊蹄山の母釜と小釜。↓
真狩コース下山口を起点に左回りでお鉢回りで絶景を楽しみます。先ずは昆布岳、その真後ろが遊楽岳、右手に道南の主峰、狩場山に、その隣が大平山。↓
長万部岳、大平山、狩場山と続く道南の名山にズーム。↓
ぴこっとした昆布岳の山頂と内浦湾越しに見える遊楽部岳にズーム、遊楽部岳の左に雄鉾岳まで見えている。↓
左回りで歩くと旧避難小屋の跡が残っています。
井戸のポンプも有る、水がでるのかぁ。
比羅夫コース下山口を通り羊蹄山北山ピークを目指します。↓
本ピークは外輪山の1898mピーク、北山から後1キロか。↓
先ずは標高1843.3m北山ピーク登頂!↓
ニセコ連峰と積丹方面を見るならこの北山あたりが一番良さそうだ。↓
ニセコ連峰を山座同定、主峰のニセコアンヌプリ、雷電山や目国内岳も見えている。
倶知安の市街地。↓
積丹方向↓
積丹の双耳峰、余別岳と積丹岳。↓
北山から20分程、三角点ピークの真狩岳に到着。三角タッチ↓
札幌圏の高山の山並みが美しい。札幌方面↓
札幌圏の主峰、余市岳、その後ろに暑寒別岳を主峰とする増毛山地、ピンネシリを主峰とする樺戸山地まで見えている。↓
白井岳の右手に樺戸山地の神居尻山、ピンネシリ、札幌に戻り手稲山、定山渓天狗岳と北海道100名山が並んでいる。
無意根山の稜線↓
長尾山、無意根山、中岳、並河岳、喜茂別岳と連なる無意根山の稜線。その右手に札幌岳、狭薄山と連なる稜線。↓
並河山と喜茂別岳の間から夕張岳まで望めている。
支笏湖方向↓
支笏湖方面、漁岳、小漁山の稜線、支笏三座の主峰恵庭岳。↓
標高1102.3m風死岳と中央に溶岩ドームを持つ樽前山。↓
山頂標識が近づいてきた、めっちゃ賑わっている。
お鉢ではコヒオドシが飛び回っていました。風が吹くと地面に降りてじっとしていました。
羊蹄山山頂の父釜、外周は2.5キロに渡る。↓
北海道100名山、標高1898m羊蹄山登頂。↓
手前に標高1107.3m、尻別岳、奥にホロホロ山と徳舜瞥山の双耳峰、右手のオロフレ山。↓
洞爺湖、洞爺湖の左が室蘭岳。内浦湾越しに道南のランドマーク、駒ヶ岳まで見えている。↓
駒ヶ岳にズーム。↓
室蘭岳にズーム。↓
山頂広場から岩場を回って真狩コース下山口に向かいます。
前回通った時はルートロストでずいぶん苦労した記憶が有るが今回はマーキングが細かくて明瞭。これは助かる、永久保存してもらいたいマーキングだ。
ここは下か、こんなんマークが無いとわからんよぉ。
ルートはわかりやすくなっていたが貞子登りも数か所あって結構体力消耗、岩場を乗り切りほっと一息。
では下山、下山も長い道のりだ。
先ほどまで居た羊蹄山を中山峠より愛でる。きついけど何度も登りたくなるいいお山です。本日も安全登山、お疲れさまでした。
ニセコアンヌプリを愛でる 羊蹄山比羅夫コース案内
羊蹄山比羅夫コース駐車場
羊蹄山比羅夫コースの駐車場は倶知安町高嶺地区、小樽市とニセコ町を結ぶ国道5号線から約2km東側に入った場所に有ります。国道からの入口には羊蹄山登山口の大きな看板が出ています。初めての方は下のグーグルマップか「半月湖野営場ルート検索」でご確認下さい。一番奥が登山者用の駐車場となっており、トイレも有ります。公共交通手段はJRニセコ駅と小樽を結ぶニセコバスの羊蹄登山口、他にJR倶知安駅と洞爺湖温泉を結ぶ道南バスの羊蹄登山口が最寄りのバス亭で有り登山口までは徒歩30分程を要する。最新の時刻表は公式サイトにてご確認下さい。
羊蹄山比羅夫コース所要時間・難易度
北海道夏山ガイドによる標準タイムは登り4時間30分、下り3時間20分となっていますが年齢、性別、体力、気候により個人差が激しいので目安とし、余裕を持ってハイキングを楽しんで下さい。(登山日9月29日)↓
- 距離 : 16.8キロメートル
- 高低差 : 1550m
- 所要時間 : 8時間20分
- 休憩 : 40分
- レベル : 中級
主なコースタイム↓
- 羊蹄山比羅夫コース駐車場(標高350m)07:40→
- →11:09北山(標高1842m)11:09→
- →11:32三角点ピーク(標高1892.7m)11:32→
- →11:40羊蹄山(標高1898m)12:20→
- →16:00羊蹄山比羅夫コース駐車場
主要ポイントが多く要約しましたが、詳細チェックは羊蹄山比羅夫コース登山を参照下さい。
羊蹄山比羅夫コース山登山
札幌から約2時間のドライブ、8時前に駐車場に到着すると駐車場の残りは後2台。もう1時間くらい早く出た方が無難、ギリギリセーフでした。
登山ボックスに記帳してスタート、登山口の標高は350m、こっから1898mを目指すロングコースで登山難易度は本家の富士山以上と言われています。
トドマツの植林を抜け、天然林の森に入ります。スタートから30分程緩やかな散策を経て目安標高430mの1合目に到着。登りはノーストレスの散策でしたが帰りはめっちゃだらだらと長く感じた。朽ちているものが多かった何合目の標識ですが今回は新しいものが付いていて、これは有難い。
序盤はトリカブトが数凛残っていました。
アジサイは麓から中腹にかけて自生。↓
ヤマハハコは序盤から山頂に至るまで群生多数。↓
歩を進めるとルートから少し外れるが風穴という標識が出ている。このコースならではなので覗いてみよう。穴から爽やかな風が吹いてくるので風穴と名付けられたようだが今回は風が無くて残念。暗い穴の中に黄緑色に光るヒカリゴケが自生しています。
散策モードのスタートから1合目とうって替わり細かくジグを切った急登スタート。1合目から20分程で2合目に到着。体も温まっておらずきつく感じる。
さらに15分程で3合目に到着、体が温まりペース良く登れるようになってきた。
スタートから1時間10分で4合目、すでに500m登っているが先は長い。
4合目を過ぎたあたりから視界が開ける箇所も出てきた。積丹の双耳峰、左に余別岳、右に積丹岳だ。↓
いい天気だなぁ。
標高950mを超えると余市岳も見えてきた。↓
スタートから1時間40分、やっと標高1000mを超えて5合目に到着。まだ800m以上の登るのか、休み休み進もう。
後志は紅葉にはまだ早いが1000mを超えるとハウチワカエデの黄葉が見られました。
手持ちのGPS計測で標高1190m、絶景の見晴台に出た。ここはいいなあ、ニセアンヌプリを正面に撮る。
日本海と、岩内、積丹の山々。↓
リズム良く登れる箇所が多かったが時折障害物が現れる。貞子登りで体力をそがれる。↓
スタートから2時間、6号目に到着。なんとか半分以上きたかぁ、リュックをおろして一休みしよう。
ナナカマドの橙葉も目に優しいなぁ。
6合目から20分程登って標高1400mの7合目に到着、ぐいぐい高度を上げていく感じがいいなぁ。↓
苦しい登りが続きペースが落ちた標高1590mの8合目、7合目から30分近くかかっている。
距離は短いがロックな急登りを超えて進みます。
8合目から15分程で森林限界突破!ニセコ連峰の絶景が広がります。ニセコアンヌプリがドン!
雷電山と目国内岳にズーム↓
9合目まで来たかぁ、でもまだ200m登るのか。
先に進もう、御鉢が見えてきた。↓
避難小屋と旧小屋跡に向かう分岐が有るが本日左回り、北山を踏んで山頂を目指します。↓
お鉢に到着!ここからは写真を取りながらのんびりと山頂を目指します。↓
この後はお鉢回り、羊蹄山山頂お鉢回りと絶景解説を参照下さい。
羊蹄山避難小屋について
今回は立ち寄りませんが羊蹄山避難小屋の利用について登山口に案内が出ていますのでアップしておきます。羊蹄山は夏季の間、管理人が常駐する避難小屋を標高1670m付近、真狩コースと比羅夫コースの間に持っています。休憩は300円ですので利用してみたい方は小銭の準備が必要です。宿泊はかつては定員40名、寝具のレンタルをやっていましたが現在は定員10名、寝具レンタル無しに変更となっています。
- 羊蹄山避難小屋の利用について
- 羊蹄山避難小屋の宿泊は事前予約制(連絡先:0136-23-3388)
- 定員:10名
- 管理人常駐期間:6月初旬~10月初旬
- 管理協力費 宿泊2000円、休憩300円
- 毛布、寝袋のレンタルは無し、必ず持参のこと
- 飲食物の販売は一切無し、必ず持参のこと
他の北海道百名山、登山記はこちらから↓
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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